当院の取り組み CONCEPT

これからの高齢化社会で歯科医院にできること

歯科医師の数が内科医よりも多いことをご存知でしょうか。各科ごとの人数を調べてみると、医科で最も人数の多い内科医を凌ぐ数の歯科医師がいることがわかります。WHOの推定調査の結果でも、国民人口に対して日本の歯科医師数は多いことが示されています。そのような情勢のなかで、国民の健康意識の向上に伴い、う蝕は特に小児をはじめとする若年層で顕著に減少しています。ただう蝕を治療し、抜けた部位を補うだけであれば、今後の歯科医師の業務は歯科医師の増加と反比例して減少の一途をたどるでしょう。
高齢化社会である現在、今後はただ歯の治療を行なうだけではなく、歯科を訪れる方々はすべて多かれ少なかれ何らかの健康上の問題を持っている、という認識をもち、全身的な状態にも注意を払い、必要であれば総合病院を紹介するなどして病診連携を密にし、栄養ケア・ステーションの担い手として、歯科医にも生涯にわたるホームドクターとしてのありかたが求められるとも考えています。

歯科医院における口腔ケアの役割

口腔内には、歯がある場合、300種を超える細菌が数千億個も住み着いており、適切なケアが行われないと、一兆個以上にもなるといわれています。それが、むし歯や歯周病の主な原因となっていて、病状が進行すると歯を失うことになり、食べる機能が低下してきます。

私たち、歯科医師・歯科衛生士は、「口腔の疾病(しっぺい)予防」から「呼吸器感染予防」そして「摂食【せっしょく】・嚥下【えんげ】(たべる・のみこむ)障害への対応」といったことなどを通して、「全身の健康」を支えてゆく「専門的な口腔ケア」を行い、必要に応じてアドバイスや支援もしています。
また、「呼吸する」「食べる」という生命維持の働きとどうじに、話す、笑う、表現する・・といったかけがえのない「コミュニケーション」の役割も果たしている大切な「口腔」が十分機能してゆくよう、機能訓練も行いながら、「心の健康」をもサポートしていきます。
そして、一人ひとりがそれぞれの状況の中でいきいきと生活ができ、人や社会と関わりながら最期まで豊かな日々が送れるよう支援してゆけることを目標としています。

口腔ケアについて

口腔機能を維持しよう

加齢だけでなく、疾患や障害など様々な要因によって口腔の機能が複合的に低下しているにもかかわらず、放置しておくと咀嚼機能不全、摂食嚥下障害となって全身的な健康を損なう恐れがあります。そのため、個々の高齢者の生活環境や全身状態を見据えて口腔機能を適切に管理する必要があります。
「口腔機能低下症」は、う蝕や歯の喪失など従来の器質的な障害とは異なり、いくつかの口腔機能の低下による複合要因によって現れる病態です。口腔機能低下を適切に診断し、適切な管理と動機づけを行うことで、さらなる口腔機能低下の重症化を予防し、口腔機能を維持、回復することが可能になります。そのためには、中年期からの口腔機能低下症の診断と管理を適切に実施する必要があるのです。

口腔機能低下症について

訪問診療での栄養管理と食支援

この取り組みでは、在宅・療養・臨床の三つの観点から、高齢者の健康や食に関する支援に向けた様々な多職種連携が予想されます。また介護予防・日常生活総合支援事業の導入に伴い、これまで医療・介護の現場で主に行われていた多職種連携は、地域における高齢者の健康や食に関する支援においても広がりをみせています。
生活の仕方が個々で異なり、かつ多様な健康課題を抱える高齢者に対し、在宅・療養・臨床で活動する多様な職種が連携・協働をする必要性は、今後さらに高まると思います。

食支援ついて
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